相馬黒光のオルガン

相馬黒光のオルガン(西川オルガン、明治23年〜30年製)の修復が完了し、安曇野の井口喜源治記念館に納品に同行。現地の関係者や新聞記者などが集まり、小さなお披露目会が催され、原謡子と数曲演奏させて頂いた。

それにしてもこの楽器は音色が良い。解説を書くにあたって調査したが、恐らく発音リードはアメリカのエスティ社製と思われる。

相馬黒光や薄幸の長女俊など、このオルガンが見つめてきた人物や出来事など、集まった関係者と話に花が咲いた。こうしたオリジナル楽器や史料、文献に触れられる点で、これは日本の西洋音楽のもう一つの古楽とも言えるかもしれない。

6月1日に穂高交流学習センターのホールで、このオルガンを主人公にしたトークコンサートを開くことになったので、詳細が決まり次第またお知らせします。

オルガン調整

オルガン調整に日帰りでK親方と横浜市に出張中。

ふんわりとした温かみのある音色。

冬期によくみられる乾燥による不具合と思われる。

静岡での古楽公演

去る2月16日ヴァイオリニスト丹沢広樹さんの発案で、
彼の故郷である静岡県で意義深い古楽公演が行われました。
ブクステフーデの代表作「我がイエスの肢体」
素敵な響きを持つ静岡音楽館AOIホールの公募事業に
丹沢さんが応募し、採用された催事でした。
募集要項に静岡県の演奏者を半数以上含めるという規約があり、
今回は声楽の5名、ガンバコンソートの5名、丹沢さんの11名が
静岡ゆかりの人物ということで、演奏者も聴衆も親密な雰囲気での
コンサートになりました。(数年間私も伊豆に住んでいたことがありますが・・)

それをサポートする器楽隊は、ヴァイオリンの天野寿彦さん、ヴィオローネの
角谷朋紀さん、テオルボの金子浩さん等、第一線で活躍するメンバーが関東から、
私が長野から静岡に結集。

それにしても渋い選曲のオール・ブクステフーデ・プログラム。
器楽隊の質の高い演奏はもちろんのこと、
声楽陣の緊密な演奏と、心のこもったガンバコンソートの響きがとても印象的でした。
聴衆の大半はブクステフーデという作曲家を初めて耳ににした方々だったと思いますが、
最初から最後まで本当に熱心に聴いていただきました。
丹沢さんの要望でコンサートの最初と最後にオルガン独奏をしましたが、
高い位置にあるオルガンの演奏台からホールを見渡した時のお客様の集中力に
今回の企画に対する期待の高さが伺えました。
地方都市ではまだまだ古楽というものが珍しいものなので、
今回のように地元の演奏者も交えたこうした取り組みは
聴衆に親近感を持って古楽を聴いていただく点でとても画期的だったと思います。

丹沢さんは企画から事務、宣伝集客そして演奏まで、遁走する怒涛の1年間だったはずです。
その甲斐あって、彼の熱い想いに集まったお客様と演奏者たちが
一体になった思い出に残る演奏会になりました。
ホールのスタッフの皆さんにも全力でサポートいただき、
効果的で円滑な運営ができました。
これを企画した丹沢さんを、深く尊敬します。
心からおめでとう、そしてありがとう。

ブクステフーデ公演のお知らせ

静岡音楽館AOIホールで2月16日に開催されるコンサート『われらがイエスの肢体』が迫ってまいりました。盟友のヴァイオリニスト丹沢広樹君が故郷である静岡の音楽文化に一花添えようと、尽力しての思い入れ深い公演。歌手とヴィオラ・ダ・ガンバ・コンソートのメンバーが静岡県民で、それを日本の古楽界をリードする器楽演奏家達が支える形になっている。

先週東京で全員が集まってのリハーサルが行われた。歌手の方々もバロックのスタイルに慣れてきたこともあり、本番への良い展望ができたと思う。このプログラムを静岡という場所で静岡の方々と共に届けられることは、意義のあるものになるに違いない。ぜひ多くの方々にこの丹沢広樹君の熱い想いを応援していただければ嬉しい。

 PV動画はこちらをご覧ください!

オール・ブクステフーデ・プログラム

『我らがイエスの肢体』BuxWV75
トリオ・ソナタ イ短調 BuxWV272

2019年2月16日(土)17:30
静岡音楽館AOIホール

ソプラノ 山田祐規子 川畑璃紗
アルト 佐藤典子 テノール
永坂邦彦 バス
鷲見誠一
バロックヴァイオリン 丹沢広樹 天野寿彦
ヴィオラ・ダ・ガンバ 西谷尚己 川畑みどり 田中伸代 清野美佳 梶山雅美
ヴィオローネ     角谷朋紀
テオルボ       金子浩
オルガン       杉本周介

企画・主催 丹沢広樹 静岡音楽館AOI 指定管理者(公財)静岡市文化振興財団
一般¥2500 22歳以下¥1000
お問い合わせ 静岡音楽館インフォメーション 054-251-2200

コルネット&サクバットアンサンブル

山梨大学の企画「古楽キャラバン」の一環で、甲府市の音楽科を持つ高校でのレクチャーコンサートに出演させていただいました。今回は後期ルネサンス〜初期バロックのコルネット&サクバットのアンサンブルで、通奏低音を担当しました。ずっと前からこの編成での演奏を夢見てきた私にとっては、とても思い出深い公演になりました。国内でも奏者がたいへん少ないこれらの楽器ですが、素晴らしいメンバーに囲まれて演奏する華やかなレパートリーはどれもとても楽しいものでした。またこのような機会があることを心より願っています。

静岡リハーサル(その3)

2月16日に静岡音楽館AOIホールで行われるブクステフーデの大作「我らがイエスの肢体」のリハーサルに静岡へ。今回は6楽章で使われるヴィオラ・ダ・ガンバのコンサートのメンバーにも参加していただき、綿密なリハーサルを行うことができました。

今回のこのコンサートはホールの応募事業で、演奏者はできる限り静岡県に在住されている方に参加いただく方針でした。そこで声楽5名とガンバコンソートの方々は静岡でご活躍の方が参加されています。主催の丹沢広樹さんも静岡県出身ですので、県民性が色濃く出る(?)音楽になるだろうと思っています。

歌手の方々も3回目となると、曲に慣れてきている感もあり、楽しいアンサンブルになりそうな予感です。

ブクステフーデ: 我らがイエスの肢体(全曲)
トリオ・ソナタ イ短調 BuxWV272
ほか
2月16日(土)17:30開場 18:00開演
静岡音楽館AOIホール

ソプラノ 山田祐規子、川畑璃紗
アルト 佐藤典子
テノール 永坂邦彦
バス  鷲見誠一

バロックヴァイオリン 丹沢広樹、天野寿彦
ヴィオラ・ダ・ガンバ 西谷尚己
ヴィオローネ 角谷朋紀
リュート 金子浩
オルガン 杉本周介

ガンバコンソート 川畑みどり、田中伸代、清野美佳、梶山雅美

一般¥2500  22歳以下¥1000

コルネット&サクバットアンサンブル

年明け1月28日に甲府市の甲斐清和高校で行われるレクチャーコンサートで、コルネット&サクバットアンサンブルに通奏低音で参加させていただきます。ジョバンニ・ガブリエリやジョバンニ・バッティスタ・リッチォなど、17世紀初頭のこの編成は私の最も大好きなサウンドの一つで、今からとても楽しみです。
このレクチャーコンサートは高校音楽科の課外授業の一環ですが、一般の方も無料で聴講が出来るそうですので、ご興味を持ちの方は是非!

静岡に再び

2019年2月のブクステフーデプログラム(静岡AOIホール)の2度目の歌稽古に静岡に行ってきました。前回からまだ3週間程度ですが、歌手の皆さんのアンサンブルがとても良くなってきました。聴き合いながら音を作るということの楽しさが歌っている表情から
伝わってきます。ますます本番が楽しみになってきました。

 

16世紀、17世紀の旋法について

スイス在住の古楽専門の鍵盤奏者であり声楽家であるElam Rotemさんが主宰している古楽資料のポータルサイトEarly Music Sourcesの動画のシリーズがとても素晴らしく、時間を見つけては動画に翻訳をつけています。ここでは16世紀、17世紀の旋法について興味深い説明がなされています。ご興味のある方は、日本語字幕を選択していただければ、拙い訳ですが、私の訳した字幕で内容をご覧いただけます。

リチェルカーレ

隣町に住む妖精の版画家、太田二郎さんが新しい本を出版するとのことで、それに付録するイメージCDを制作のお誘いをいただきました。選曲を迷っていますが、本の内容から16世紀のリチェルカーレをアルピコルドで弾いたら合いそうな気がしています。

サンプルに録音して、秋の風景を撮ってきて動画にしてみました。ルネサンスのこうした曲は結構好きです。