静岡での古楽公演

去る2月16日ヴァイオリニスト丹沢広樹さんの発案で、
彼の故郷である静岡県で意義深い古楽公演が行われました。
ブクステフーデの代表作「我がイエスの肢体」
素敵な響きを持つ静岡音楽館AOIホールの公募事業に
丹沢さんが応募し、採用された催事でした。
募集要項に静岡県の演奏者を半数以上含めるという規約があり、
今回は声楽の5名、ガンバコンソートの5名、丹沢さんの11名が
静岡ゆかりの人物ということで、演奏者も聴衆も親密な雰囲気での
コンサートになりました。(数年間私も伊豆に住んでいたことがありますが・・)

それをサポートする器楽隊は、ヴァイオリンの天野寿彦さん、ヴィオローネの
角谷朋紀さん、テオルボの金子浩さん等、第一線で活躍するメンバーが関東から、
私が長野から静岡に結集。

それにしても渋い選曲のオール・ブクステフーデ・プログラム。
器楽隊の質の高い演奏はもちろんのこと、
声楽陣の緊密な演奏と、心のこもったガンバコンソートの響きがとても印象的でした。
聴衆の大半はブクステフーデという作曲家を初めて耳ににした方々だったと思いますが、
最初から最後まで本当に熱心に聴いていただきました。
丹沢さんの要望でコンサートの最初と最後にオルガン独奏をしましたが、
高い位置にあるオルガンの演奏台からホールを見渡した時のお客様の集中力に
今回の企画に対する期待の高さが伺えました。
地方都市ではまだまだ古楽というものが珍しいものなので、
今回のように地元の演奏者も交えたこうした取り組みは
聴衆に親近感を持って古楽を聴いていただく点でとても画期的だったと思います。

丹沢さんは企画から事務、宣伝集客そして演奏まで、遁走する怒涛の1年間だったはずです。
その甲斐あって、彼の熱い想いに集まったお客様と演奏者たちが
一体になった思い出に残る演奏会になりました。
ホールのスタッフの皆さんにも全力でサポートいただき、
効果的で円滑な運営ができました。
これを企画した丹沢さんを、深く尊敬します。
心からおめでとう、そしてありがとう。