【公演のお知らせ】「森と少女と永遠と」オープニングコンサート

『森への誘い 〜女流詩人アン・ハンターの世界』
イギリスの女流詩人アン・ハンターの英語詩によるハイドンのオリジナル・カンツォネッタ

八ヶ岳の在住のフォトグラファー、藤井春日さんの写真展「森と少女と永遠と」のオープニングとクロージングで演奏させていただきます。それぞれ、内容が変わります。こちらはオープニング・コンサートのご案内です。

2024年7月6日(土)・7月7日(日)
13:30開場 14:00開演 (両日共)
サローネ・フォンタナ (世田谷区祖師谷)
小田急線 祖師ヶ谷大蔵駅より徒歩10分

入場料:¥3000

18世紀末、ロンドンの社交界で知識人が集まるサロンを展開していた女流詩人アン・ハンター。女性らしい瑞々しい感性がみなぎる英語詩に、当時ロンドンを訪れていた巨匠ハイドンが、そっと寄り添うように曲をつけて1794年と1795年に出版した歌曲集。

演奏曲目:
アン・ハンター 詩
フランツ・ヨーゼフ・ハイドン 曲
さすらい人/牧歌/追憶/甘い痛み/絶望/忠実な愛/精霊の歌/人魚の歌/妙なる声

原謡子 ソプラノ
杉本周介 フォルテピアノ

 

【公演のお知らせ】アフェットの予感

アフェットの予感

2024年7月14日(日)
13:00開場  13:30開演
studioR (八ヶ岳自然文化園正門前)

一般¥3500  ペア¥6500

16世紀末のイタリア。ハルモニア(調和)を基盤としたルネサンス・ポリフォニー。その厳格な様式美の中で即興的な変奏法として生み出された分割小食の技法が次第に「情感(アフェット)の表現として歩み始めた。バロック初期の大胆なコンチェルターテに至るその足取りを辿る。

G.P.パレストリーナ=F.ロニョーニ編 「野山は花の賑わい」
C.デ・ローレ=G.B.ボヴィチェッリ編「別れの時」
T.クレキヨン=G.ダッラ・カーサ編 「小さな花」
D.カステッロ ソナタ第2番、第3番 他

コルネット 上野訓子
ソプラノ 原謡子
バロックヴァイオリン 丹沢広樹
オルガン/アルピコルド 杉本周介

 

【公演のお知らせ】「森と少女と永遠と」クロージングコンサート

『樹々と 〜The Scenery of Old Songs』

フォトグラファー、藤井春日さんの撮影拠点でもある八ヶ岳の空気感で編曲を施したイギリス諸島の古い歌やオリジナルソング、ピアノ曲。作編曲家の顔も持つ原村在住の杉本周介が八ヶ岳に広がる森の静かな時間を音にしてお届けします。

2024年7月17日(水)
13:30開場 14:00開演
サローネ・フォンタナ(世田谷区祖師谷4−9−24)
小田急線「祖師ヶ谷大蔵」駅より徒歩10分

原謡子 うた
杉本周介 ピアノ・作曲/編曲

演奏曲:
Gartan Mother’s Lullaby /Scarborough Fair /夜明け前/凍れる池/白樺/そらは/落ち葉の道/さよならのさらい/遺志/夏の終わりに 他

「まだ緊張が取れない私をようやく普段の自分に導いてくれたのは、この厳しさと表裏一体の針葉樹の森の、包み込むような闇であった。暗くなった森で風が静かにささやいている。鳥達の鳴き声が夜明けに聞こえる種類と同じようなものになり、やがて残された闇の音楽だけが聞こえてくる。葉の緑をさらに色濃くした木々や草達も、今日一日の仕事を終えたかのように、静寂な表情を取り戻している。(杉本周介著「ペンションをやってみよう!」より)

コルネット、サクバット、種々の古楽器のための 高原のアンサンブル講習会@原村No.2

開催日:2024年7月13日(土)~15日(月・祝) 

場 所:八ヶ岳自然文化園 、八ヶ岳中央高原キリスト教会

夏の原村中央高原で後期ルネサンスから初期バロック期のアンサンブルを主体とした講習会を行います。今回のテーマは主に後期ルネサンスの器楽アンサンブルの演習です。ワークショップでは当時の楽譜から音楽的意図を読み取り、演奏することに挑戦していきます。コルネット(ツィンク)やサクバットのみならず、声楽、バロックヴァイオリン、ヴィオラ・ダ・ガンバ、ドゥルツィアンなど16世紀後半から17世紀前半の音楽を演奏できる楽器でのアンサンブル講座参加も大歓迎です。

講座内容:

7月13日

アンサンブル講習①、②
ワークショップ「16、17世紀の読譜基礎講座」

7月14日
ワークショップ ①「16、17世紀のパート譜での演習」
ワークショップ②「ディミニューションはじめの一歩」
アンサンブル講習③

講師によるコンサートがあります(studioR)

*懇親会(自由参加、参加費別途)

7月15日
アンサンブル講習④
参加者コンサート(八ヶ岳中央高原キリスト教会)

ワークショップ:「16、17世紀の楽譜から演奏してみよう」


ファクシミリ版の楽譜は当時の演奏者たちの音楽への考え方を知る大きな手がかりとなります。小節線がないこと、パートブックで他のパートが視覚的に見えないこと、活版印刷特有の音符の配置などにより、躊躇される方も多いのですが、ファクシミリ版の読譜を習得することは、古楽を演奏する上で沢山の気づきを与えてくれます。このワークショップでは比較的わかりやすいファクシミリ版を実際に読みながら、読譜のポイントや考え方を紐解いていき、実際に演奏します。

ワークショップ②:ディミニューションはじめの一歩

16世紀の作品を演奏する上で欠かせない分割装飾法を紐解いていきます。分割装飾の考え方やボキャブラリーを持つことで、個性が引き立つ表現豊かな演奏への糸口を身につけましょう。器楽、声楽分け隔てなく役立つ知識と技術です。ワークショップではマドリガーレを題材に実材に装飾をつけてみましょう。

受講者発表コンサート

最終日には静かな森の中に佇む八ヶ岳中央高原キリスト教会でミニコンサート (一般公開)を行います。柔らかく包み込まれるような響きの木造建築でアンサンブルをみんなで楽しく体験しましょう!

 

開催日: 2024年7月13日(土)~15日(月・祝)

場 所: 八ヶ岳自然文化園 、八ヶ岳中央高原キリスト教会
・八ケ岳自然文化園  〒391-0115 長野県諏訪郡原村原山17217-1613
・スタジオR     〒391-0115 長野県諏訪郡原村原山17217-1650
・八ヶ岳中央高原キリスト教会

時 間: 13日 13:30 – 17:00
14日 9:30 – 17:00
15日 9:30 – 15:30(解散)
講師 : コルネット 上野訓子
受講料:3日間 各楽器共通(講師コンサート込み)……………20,000円
聴講(13日):……………………………………………2,000円
聴講(14日) 講師コンサート込み………………………………5,000円

受講について
*お申し込み期限7月1日
*アンサンブル課題曲:16世紀半ば以降17世紀初頭の器楽曲やマドリガーレ、モテットなど  詳細は後日配布します。
聴講生の方は楽器の直接指導は受けられませんが、どのレッスン、レクチャーも聴講可能です。
・お申し込み後、キャンセルされる場合はお早めにご連絡ください。キャンセル料はかかりません。
*代金は初日ガイダンス時にお支払いください
ご不明な点がございましたらムジカロゼッタへお問い合わせください(代表 原)

上野訓子  Kuniko Ueno / コルネット

大阪音楽短期大学器楽科卒業後、コルネットを濱田芳通、B.ディッキー、W.ドンゴワ、J.テュベリの各氏に師事。スイス・バーゼルスコラカントゥルムにて学んだ後、渡仏。パリ市高等音楽院古楽科にて、コルネット奏者として同音楽院では初のディプロマ取得者として満場一致で卒業。ヨーロッパの主要古楽アンサンブルのメンバーとして、各地のコンサートやオペラ、録音、テレビに出演。近年にはコンチェルト・イタリアーノ東京・神奈川公演、バッハ・コレギウム・ジャパン定期演奏会、CD録音に参加。昨年には新国立劇場にて鈴木優人氏指揮、グリュック作曲オペラ「オルフェオ とエウリディーチェ」に出演。関西ではコルネット とサクバットによるアマチュアグループ「ヒストリカル・ウィンドアンサンブル」を立ち上げ指導を行うなど、活動を展開している。

【公演】ヘンリー・パーセル珠玉の歌曲集

ムジカ・ロゼッタ古楽コンサートin八ヶ岳 Vol.31

〜英国が生んだ天才作曲家〜
ヘンリー・パーセルの珠玉の歌曲集


古くから演劇が盛んだったイングランド。17世紀半ばの王政復古と共に再び劇文化が花開き、劇中で演奏される音楽も大きく発展しました。ヘンリー・パーセルは曲を付けにくい英語の特徴を巧みに操り、詩を構成する一つ一つの言葉に込められた深い意味をより鮮やかに表現すた名曲の数々で、当時の知識人達を魅了しました。パーセルの死後、楽譜出版社のヘンリー・プレイフォードが人気があった歌曲をまとめて「オルフェウス・ブリタニクス」という選集を出版し、裕福層の音楽愛好家の間で人気となりました。この公演ではパーセルが生んだ歌曲における詩との結びつきを解説しつつ、17世紀イギリスの紳士淑女が好んだ音楽の楽しみ方を再現します。

公演日時:
2024年5月25日(土)
開場14:30  開演15:00

場所:
八ヶ岳中央高原キリスト教会

出演:
森川郁子 原謡子 ソプラノ
髙橋弘治     ヴィオラ・ダ・ガンバ
杉本周介     ベンドサイド・スピネット

演奏曲:
ヘンリー・パーセル
オルフェウス・ブリタニクス(1698・1702年)より
薔薇が茂る木陰から  もしも音楽が愛の糧であるならば 我が苦悩の全て
グラウンド ハ短調

入場料
前売一般¥3800   前売ペア¥7000
学生¥2500 高校生以下 無料 当日一般 ¥4000
※未就学児はご入場いただけません

後援:原村観光連盟

お問い合わせ:
ムジカ・ロゼッタ
070-4430-0666
info@musicarosetta.com

 

出演者プロフィール:

森川 郁子   ソプラノ
桐朋学園大学卒業、同研究科2年修了。声楽を石井美香、牧川修一、古楽声楽を小林木綿、鈴木美登里の各氏に師事。国内外でジル・フェルドマン、アンヌ・ドゥラフォス各氏に学ぶ。2015年東京・春・音楽祭「大英博物館展」プレコンサート、日伊修好150年記念オペラ「ジャパン・オルフェオ」、ラモー「プラテ」等のバロックオペラに出演する他、数々の宗教曲においてソリストを務め、アンサンブル歌手としても多くの演奏会に参加。中世、ルネサンス、バロック音楽から近現代音楽まで幅広い分野で演奏活動を行う。EX NOVO、古楽アンサンブルDolceAmaro https://www.dolceamarotokyo.com 、ヴォーカルコンソート東京、カペラッテ各メンバー。アイゼナハ音楽院声楽講師。

原 謡子  ソプラノ

東京学芸大学卒。主に中世、ルネサンス、バロックから古典派の歌曲を中心に演奏活動を行う。グレゴリオ聖歌とパイプオルガンとの交互唱、リュートソングや古楽アンサンブルなどでソリストを務める。また古楽歌唱とJazz演奏家との共演、ケルト民謡を演奏するなど活動の時代やスタイルの幅を広げて活動している。CD「雪下の水音」「鷲の羽音島」「The Scenery of Old Songs」を、草枕社よりCDBook『Selva d’amore]』をリリース。古楽歌唱を花井哲郎氏に学んだほか、故クラウディオ・カヴィーナ氏、ドロン・シュライファー氏らの指導を受ける。古楽・音楽企画運営事務局Musuca Rosetta代表。

髙橋 弘治 ヴィオラ・ダ・ガンバ
桐朋学園大学音楽学部卒業、ブリュッセル王立音楽院古楽器科修了。2001年から07年まで「ラ・プティット・バンド」メンバーとして活動を行う。2011年より古楽アンサンブル「ムジカ・レセルヴァータ」の中心メンバーとして活動を展開。「鶴見de古楽」シリーズ、西方音楽館にて「J.S.バッハ 無伴奏チェロ組曲」全曲演奏会(全3回)を開催、好評を得る。これまでに「イル・ガルデリーノ」「カプリオーラ・ディ・ジョイア」など海外アーティストと共演。指揮者として東海バロックプロジェクト創設10周年企画においてヘンデル「メサイア」全曲を指揮し好評を博すなど活発な演奏活動を展開している。

杉本 周介 ベンドサイド・スピネット

米国、スイスで作曲、チェンバロ、ピアノ、オルガンを学ぶ。16~18世紀の様々な鍵盤楽器を中心に国内各地で演奏活動を行っている。古楽アンサンブル「コントラポント」、「山梨バッハアカデミー・バロックオーケストラ」その他多数の古楽アンサンブルで通奏低音奏者を務めてきた。幅広い方々にバロック音楽に親しみを持っていただくためのトークコンサートを多数プロデュースしている。2020年軽井沢の修道院に設置されているオルガンによる CD「定旋律の煌めき」をリリース。2022年書籍「愛の森~十七世紀フィレンツェの愛の歌」解説を執筆。八ヶ岳の麓に在住。

【2024年4月28日】春の高原に響く17世紀ドイツ・バロック

ムジカ・ロゼッタ古楽コンサートin八ヶ岳 Vol.30

30年戦争で荒廃したドイツ。その苦難の時にも音楽の炎を灯し続けた音楽家たちがいました。

シュッツはドイツ音楽の3大『S』と呼ばれ、特に重要な作曲家。イタリアの先進的な音楽創りを学び、巧みにドイツ・プロテスタントの音楽に順応させ、精神性の高い音楽を生涯世に送り続けました。シュッツが1636年、1639年に出版した「小教会コンチェルト」を中心に、古楽器でお届けします。森の静かな礼拝堂でその世界観をお楽しみいただければ嬉しいです。

関西を拠点に主に初期バロック音楽の活動を展開されているバリトン歌手およびテオルボ奏者の笠原雅仁氏をお迎えして、独唱や二重唱を通じてしっとりとシュッツを演奏したいと思います。
公演日時:2024年4月28日(日)
開場14:30  開演15:00

場所:八ヶ岳中央高原キリスト教会

出演:
原謡子 ソプラノ
笠原雅仁 バリトン/テオルボ
杉本周介 オルガン

 

演奏曲:
ハインリヒ・シュッツ(1585−1672)
小教会コンチェルト集 「第一巻(1636)/第二巻(1639)」より
ザムエル・シャイト  「マニフィカト第9旋法」

入場料

前売一般¥3800   前売ペア¥7000

学生¥2500        高校生以下 無料       当日一般 ¥4000

※未就学児はご入場いただけません

後援:原村観光連盟

 

 

【2023年7月】高原のコルネット講習会@原村 報告

7月は日本を代表するコルネット奏者の上野訓子さんによるコルネット講習会がありました。コルネットを演奏する人は大変少なく、国内でプロ活動しているのは上野さんを含め3~4人しかいないと思います。そんな楽器を吹く愛好家が果たしてどれくらいいらっしゃるのかと、若干不安に思っていましたが、なんと8名の方が受講、5名の方が聴講するという、なかなか賑やかな講習会になりました。コルネットは音を出すだけでも大変難しい楽器ですが、三日間にわたる上野さんの熱い指導で、皆さんの音がどんどん変わっていくのが感じられましたし、事実最終日にフィリア美術館での成果発表会は、受講者さんたちの音楽を楽しんでいる悦びにあふれた音が伝わる素晴らしいものでした。元々上野さんがこのフィリア美術館の大きなオルガンとのアンサンブルをお弟子さんに体験させたいという希望からスタートした講習会でしたので、発表会に先立ってこのオルガンを建造した草苅オルガン工房の草苅徹 夫氏のナビゲーションでデモンストレーションを行い、オルガンの知識を深めることもできました。受講者の皆さんからの要望もあり来年も7月あたりに同じような講習会を開くことになりそうです。
さて、この講習会には講師コンサートの位置付けでstudioRでの公演がありました。上野さんのコルネットに加えて丹沢さんのバロックヴァイオリン、原謡子のソプラノと私(杉本)の通奏低音で、16世紀末から17世紀初頭スリリングなレパートリーを楽しみました。正統派の上野さんと、若干異端児とも言える丹沢さんの対決のような演奏もあり、小さな会場が熱気に包まれた公演でした。このコンサートの模様ではありませんが、上野さん、丹沢さん、原謡子の演奏は私のYouTubeチャンネル@shusukesugimoto6304でご覧いたけます。

 【2023年6月】ライヴ「音楽室」公演「報告

原謡子がジャズ界のベテランベーシスト水谷浩章さんと二人だけでこれまた濃密なライヴをstudioRで行いました。私(杉本)も一体どんなライヴになるのか期待と不安のあまり、お客様に「リラックスして」聴いていただくために、ハンドドリップのコーヒーやお茶を提供してみようと思い立ちました。珈琲豆は現在studioRの建物で自家焙煎をしてくれている新BARNの焙煎師に頼んで私好みの深煎りで中庸な余韻の豆を焼いてもらう程の意気込みでした。そんな私のヤキモキとは裏腹にライヴ自体は快い緊張感のある、それでいてとても自然な流れがあり、「歌とベースだけというのもいいじゃない!」と十分に感じさせてくれるもので、水谷さんの完璧な技巧に裏付けられた闊達な演奏と表現力は歌といつも対等な会話をしているようでした。完全生音でのライヴでしたし、ミニマルな編成による独特な間(ま)があったりで、studioRの空間の響きが良い方向でマッチするライヴでした。バッハやディミニューションに始まって、水谷さんの複雑な表現の交錯するオリジナルのほか、私の作った歌曲も3曲演奏してくれました。自分が作った曲を誰かが新しい解釈で演奏してくれるのを聴くのは新鮮な喜びがあるものです。

【2023年5月】ムジカ・ロゼッタ10周年記念公演報告

ムジカ・ロゼッタ10周年記念公演を茅野市民館で行いました。大勢のお客様が駆けつけてくださって、本当にお祝いのような公演になりました。改めて感謝申し上げます。記念公演ではバロックヴァイオリンのヴィルトゥオーソ丸山韶さん率いるラ・ムジカ・コッラーナの主要メンバーを迎えて8人編成で華やかにお送りすることができました。丸山さんのヴィヴァルディのコンチェルトは圧巻の演奏でしたし、丸山さんと丹沢広樹さんの火花が散るようなラ・フォリアも忘れられない演奏でした。私はこの素敵なメンバーでソリストの一人としてバッハの規模の大きい協奏曲を弾くという機会をいただいたことは、良い思い出になりそうです。原謡子もバッハの大変美しいカンタータ82番を演奏し、あらためてバッハの奥深さ、魅力を感じることができました。
お客様からのアンケートも全ての方が書いてくださったのかと思うくらい本当にたくさん、心温まるご感想をお寄せいただき本当にありがとうございました。終演後に一枚一枚メンバー全員で噛み締めるように読ませていただきました。そして、「これからも、もっと面白い企画をして、皆様に楽しんでいただこう!」という決意を皆で新たにしていました。沢山のあたたかいメッセージ、本当にありがとうございました。

公演「バッハが弾いた?幻のチェロを追って」

ムジカ・ロゼッタ古楽コンサート vol.28

〜Violoncello da Spalla〜

八ヶ岳中央高原キリスト教会 (長野県諏訪郡原村原村1077-142)
2023年9月23日(土)13:30開場 14:00開演
前売一般¥3500 前売ペア¥6500 学生¥1500
小中高生無料 当日¥4000

天野寿彦 (ヴィオロンチェロ・ダ・スパッラ/バロックヴィオラ)
丹沢広樹(ヴィオロンチェロ・ダ・スパッラ/バロックヴァイオリン)
原謡子 (ソプラノ)  杉本周介 (オルガン)

バッハの伝記を書いた18世紀の著名な音楽学者のヨハン・ニコラウス・フォルケルが1872年に残した文章に次のようなものがあります。「この状況(ヴィオラとチェロの音域の中間を演奏する楽器の必要性)を打破するために、ライプツィヒ市の音楽監督であったヨハン・セバスティアン・バッハ氏はヴィオラ・ポンポーサと呼ばれる楽器を創造した。それはチェロと同じ調弦であるがさらに高音側に弦が追加されており、ヴィオラよりも幾分大きな本体を持っている。その楽器にはベルトが取り付けられていて胸の前で腕に抱えることができる。」ここにある5本目の弦を必要とするバッハの作品は複数見受けられ、有名な無伴奏チェロ組曲の第6番は5本の弦を持ったチェロのためにという指定があります。またカンタータのアリアなどで「ヴィオラ・ポンポーサ」をしてしているものが確認できます。この頃バッハが非常に親しかった弦楽器製作家ヨハン・クリスティアン・ホフマンが製作した肩掛け式チェロが現在ブリュッセルの博物館に収蔵されています。新しい響きが大好きなバッハがこのホフマンの楽器を知らないはずがありません。バッハはヴァイオリンやヴィオラ奏者としても活動したので、これらと同じ構え方で演奏できる「チェロ」を自身で演奏していたかもしれません。
今回の公演では日本国内でヴィオロンチェロ・ダ・スパッラ=ヴィオラ・ポンポーサを研究し演奏している弦楽器奏者の天野寿彦さんをお迎えし、またこの楽器を以前から弾いている丹沢広樹さんを交えて、バッハの目線から見たヴィオロンチェロ・ダ・スパッラの隠された歴史を追うトークコンサートです。演奏曲目はもちろんバッハを中心としたレパートリーで、これを聴けばスパッラにちょっと詳しくなれるに違いありません。なんと、演奏会で使うスパッラを製作した弦楽器製作家の高倉匠さんも駆けつけてくれることになっているので、製作家目線のお話もお伺いしようと思っています。ぜひ、お聴き逃しなく!