フィレンツェのため息

フィレンツエのため息 ~17世紀の詩と音楽

場所:笹離宮 蓼科笹類植物園 (茅野市)

5月29日(土)13:30開場 14:00開演

ソプラノ:原謡子  チェンバロ:杉本周介

会費:¥1500(入園料込み)定員20名様 要予約

お申し込み:0266-79-7136(笹離宮)
office@tateshina-sasa.com

メディチ家の繁栄が最期を迎えていた16世紀末から17世紀初頭は音楽史上とても重要な時期とも言えます。それまでは数人の歌手が声を合わせて歌うポリフォニーの音楽の時代(ルネサンス)でした。ただこの方法だと歌詞が聞き取りにくく、またその内容に即した感情を音楽としてダイレクトに表現するという点で、困難がありました。

フィレンツェでは知識人が集まるバルディ伯爵のサロンで、詩人や音楽家が集まって詩のドラマをどのように音楽にしたら良いかを議論していました。そこでお手本にしたのはギリシアの古代劇です。一人の演者が感情豊かに台詞を語るというギリシア劇のスタイルを、感情豊かに歌う一人の歌手を楽器によるシンプルな伴奏が支えるという形を考案したのです。この様式をモノディと呼びますが、その後のバロック音楽に重要な影響を与え続けます。この様式のおかげで、音楽にはよりドラマティックな表現が可能にあり、音楽史上初のオペラもそこで創作されたのです。今回はジュリオ・カッチーニ、ヤコポ・ペーリといった17世紀初頭のフィレンツエに関わりのある作曲家による歌曲を中心に、解説付きでお送りしたいと考えています。

笹離宮は見事な笹の庭園があり新緑に揺れる昼下がりにゆったりを園内を散策していただくことができます。笹の葉を見つめていると、日頃慌ただしい生活で気がつかないうちに溜まっていた疲れが解けていく思いがします。コンサートは定員20名様なのでご興味をお持ちの方はお早めにお申し込みいただくことをお勧めします。

ロゼッタの森から Vol.10

木々が芽吹き始めました。若葉が放つ水彩絵具を滲ませたようななんとも言えない色彩に胸をすかされる想いです。それにしても桜の開花にしても、今年は一昔前よりも2週間ほど早い春の訪れを感じます。写真は4月12日の高島城(諏訪市)の公園です。

最近はそこそこに慌ただしい毎日になっています。感染症が落ち着かない状況が続く中、県を跨いでの活動はまだありませんが、地元での演奏の依頼がぽつぽつとあります。二月には「町ゼミ」という原村の事業者がちょっとした知識を近隣の方に提供する企画にムジカロゼッタとして昨年に引き続き参加しました。前回は鍵盤楽器を一通り説明して、実際に触れてもらうというものでしたが、今年はグッと専門性を持たせて、「青年バッハの作曲法」と題して、バロックの作曲家がどんなことを頼りに作曲していたか、という部分のほんの一例を紹介しました。

作曲をするということを思い浮かべた時、皆さんはどんなことを想像するでしょうか?半数以上の人は何処かからイマジネーションが降ってきて、それを音符にしていくということを考えるようです。確かにベートーヴェンとかは自分の人生観と音楽がかなり一致していると言えるので、古典派の後期以降の音楽はそれに近い部分があると思います。しかし、バロック時代は依頼を受けて作曲することがほとんどでしたので、曲の用途や求められる雰囲気が作曲に着手する段階で概ね方向性が決まっていたと言えるでしょう。もちろん親しかった人への追悼曲など、個人的な体験や感情の表現としての作曲の例もあります。私が町ゼミで取り上げたのは17世紀ドイツの音楽の考え方が若い頃のバッハの音楽作りに与えていた部分です。

バロック音楽は言語と密接に結びついています。曲全体を一つの作文と考えると、そこには文法があり、雰囲気を醸し出す文体があり、使われるべき単語やその言い回しがあり、など伝達されるべき情報や情緒を的確に表現するための作文のテクニックというものがあります。作曲においては調性がその題目の方向性を決定しますし、曲のドラマを展開する和声は文法的な法則があります。立体的な文脈を作るのには効果的な対位法(プラスされたもう一つのメロディの存在やメロディーの模倣など)も欠かせません。

そして今回の町ゼミで取り上げたのは単語とその言い回しとも言える修辞学でした。バロック時代には修辞学が音楽に盛んに取り入れられていました。それはある音の塊がなんらかの意味を象徴するというものです。曲の出始めのメロディーが高い音に向かっていく場合、それは『外向性」「強さ」「喜び」「生命」とかを表す音型ですし、逆に下行していた場合、「内向性」「弱さ」「下降」「否定」「死」「絶望」などを表します。不協和音程の跳躍は「苦難」や「苦しみ」、半音階の進行は「苦難」「悲しみ」など、音の形によって意味が定義されていました。もちろん当時の理論家の間でも多少の解釈の違いはありますが、概ねこうした音の形は声楽曲の歌詞と照らし合わせて見た時にかなりの精度で信憑性があることがわかります。

バッハもこうした修辞学に非常に長けていて、かなり若い頃の作品にも積極的に修辞学を曲に盛り込んでいったことが窺えます。少々マニアックですが、作品の言わんとしていることを理解する手がかりとして、この分野はとても興味深い世界です。町ゼミではこの音楽修辞学というものの存在を、実例を弾きながら紹介させていただきました。

当時の作曲というのは往々にしてシステマティックな職人の世界でもあり、作曲家たちは内容を正確に伝えるための共通言語や独自の「型」、「技術」を持っていたのだと考えられます。日本の茶道とか武道においても「型」「作法」というものが大切にされている印象があります。それは当事者の気分とは無関係に決められたことを作法として行う必要性を説いているのではないかと私は勝手に思っています。そしてその「型」の意図にこちらの心が寄っていき、その中に入り込むというのがおそらく理想なのではないかと思います。音楽もまた内容を正確に聞く人に伝えるための冷静な技の「道」であり、生涯修行を積み続ける世界なのだと思っています。

早春の空を見上げて

最近はあれこれとやることに追われて動画を作るのを後回しにしてしまっていました。
楽しみでやっているのですから、そんなに頑張ることもないのかもしれませんが、オルガンの生徒さんからレッスンの後、「最近新しい動画の投稿がないですね」と言われてしまいました。
その場で色々と言い訳をしたものの、やはり待ってくれている人もいると思って、家に帰ってきて、レッスンの合間に散歩をして、夜になってからクラヴィコードに向かって撮影してみました。
このクラヴィコードはライプツィヒの博物館にある現存する際この楽器の一つを
富士見町在住の初期鍵盤楽器製作家の小渕晶男氏が復元したものです。
一つのペア弦を4つの鍵盤が共有しているところもあり、
演奏できる曲も演奏法も制約がありますが、
この渋い味わいのある音はいかにも古楽器らしくて好きです。

短くて手抜き動画と思われるかもしれませんが、、
春は生命力に溢れていると同時に憂いに満ちている、
そんな気持ちを音に乗せてみました。
原曲の歌詞は、何故かお金の話ですが・・

よかったらどうぞ。

年の瀬ケルティックLive

12月27日、28日にデリ&カフェKにおいて二日間のライブを行いました。
今回はティンホイッスル、フィドル、バウロンといったケルト音楽の代表的な楽器がメインで、楽しげなダンスチューンを中心に激動の2020年の音楽納めが出来ました。

小嶋祐樹さんはホイッスルの他に、ボタンアコーディオン、バグパイプを
次々と持ち替えて、ケルト音楽の真髄を披露して下さいました。
丹沢広樹さんは躍動的なフィドルで会場を沸かし、
バウロン、ジャンベ、カホンでグループを包み込むパーカッションを
聴かせてくれた橋本学さんも、なくてはならない存在感をアピール。
原謡子の歌はダンスチューンの間にしっとりとした郷愁を感じさせるもので
ライヴ全体にコントラストを与えてくれました。

終わったあと、メンバーはまたやろう!という誓いのもと
興奮のうちにそれぞれの家路についたのでした。

ケルティックBand Live 2020@デリ&カフェK

 ケルティックBand Live @デリ&カフェK

12月27日  17:30開場 19:00開演

¥2800+ワンオーダー満席となりました

12月28日  14:30開場 15:30開演

入場料 ¥2500(中学生以下¥1500)+ワンオーダー

両日とも定員が50名様です。

場所  デリ&カフェK(八ヶ岳自然文化園内)

ご予約 お問い合わせは下記フォームより承っております。

原謡子(歌)

小嶋佑樹(ティンホイッスル、アコーディオン、バグパイプ)

丹沢広樹 (バイオリン、ヴィオラ、ヴィオロンチェロ・ダ・スパラ)

橋本学  (バウロン、パーカッション)

原謡子が仲間を集めてケルト音楽のライヴを年末に行うことになりました。彼女は昨年11月に「ケルティック・クリスマス」というライヴをヴァイオリンの丹沢広樹さんと行いましたが、今年はさらにゴージャスなメンバーが結集します。ケルト音楽といえばバグパイプやホイッスルが思い浮かびますが、それらの楽器の名手小嶋祐樹さんと親しくなり、いよいよ本格的なケルティック・サウンドが実現します。小嶋さんはもともとスコットランドのハイランド・バグパイプを吹いていたそうですが、さらにスパニッシュ・バグパイプをスペインで学び、同地のコンペティションで優勝するなど、第一人者として国内各地で多忙な演奏活動をされています。ホイッスルやボタンアコーディオンも演奏し、ひとり四役くらいは軽く演じることができる稀有な方です。また富士見町在住の打楽器奏者の橋本学さんもケルト音楽で最も重要な打楽器「バウロン」を取り憑かれたようにマスターし、ケルト感が倍増してきました。これに丹沢広樹さん名物のノリの良いフィドル(ヴァイオリン)が動き回るという構図は、聴く前からワクワクしてきます。演奏されるナンバーはアイルランドのダンスチューンやスコットランドの民謡調の楽曲などの予定です。 

会場となるデリ&カフェKはすでに原村中央高原のランドマークとなりつつある場所です。原村をこよなく愛する素敵なスタッフさん達が、今回の企画にも全面的に協力してくださっています。なんとも心強いことです。イベントをたくさん手掛けているので感染症対策もしっかりサポートしてくださいます。そして、なんと27日は月イチのビール半額デーとなっています!イベントフード、ワンコインフードのオーダーも可能です。ぜひ少し早めにご来場いただいて(17:30開場)、軽く食事をしながらビールを片手にケルト音楽を楽しんでいただければと思います。気分はもうオトナの「アイリッシュパブ」です。

翌日の28日は遅めの昼公演です。この日はデリ&カフェKの2020年営業最終日にもなっているので、一年の締めくくりとして大きく盛り上がっていきたいと思います。店長さん曰く、「年末年始休業に入るので、ビールの樽を空にして終わりたい!」そうですので、皆様のご協力をお待ちしております。楽しいダンス音楽をお子様ご家族様にも楽しんでいただけるように中学生以下の料金設定もあります。普段は本格的なライヴに連れて行くことを躊躇されている方も気兼ねなくご参加ください。コンセプトは「みんなで楽しもう!」です。こちらもワンコインフードが二種類と各種ドリンク・アルコールが提供可能です。

 

 

楽器の調整ータング・スプリング

チェンバロ族のタングスプリングには金属や樹脂など、現代では色々な素材が使われているけれど、猪の毛という自然の素材の確かさを改めて実感。このスプリングは連打精度に大きく影響するけれど、長いタングに長いバネを使うと、振動周期が長くなって特に低音域でうまくいかない原因になっているのでは?と仮説が思いついた。アルピコルドの問題のあるスプリングを数本に思い切って短かく切った猪の毛を試したところ、ビンゴ。昨日の録音で上手く出なくて苦労していた音がとても楽に出せるようになった。もっと早く気がついていれば!つい嬉しくて自己満足の投稿でした。すいません。

秋晴れの硫黄岳

今日は朝から昼過ぎまで硫黄岳(2760m)に行ってきました。朝8時に桜平登山口を出発し、オーレン小屋から夏沢峠を経由して硫黄岳。帰路は赤岩の頭からオーレン小屋に抜けて山頂での50分の休憩含め往復4時間45分で帰ってきました。桜平のルートはアプローチが短いので有り難いです。帰宅して夕方からレッスンの仕事をしました。道中の森の香りの濃いこと。苔の色の深みもハンパないです。すっかり元気になって降りてきました。山頂からは北ア、御嶽、中ア、南アの全ての眺望が得られました。

最近は村内に住む音楽関係者とのプロジェクトも始まっており、八ヶ岳らしい音楽を深めようと、こういう時間を作るようにしています。

静寂の山 西岳

入っていた予定が無くなって久しぶりにぽっかり空いた日。南八ヶ岳でも最も静かな西岳をノンビリ散歩。といっても標高差1,100メートル。鈍っている体には良い刺激。シラビソの森の甘苦い香りが漂う時間は自分にとってとても大切。たまにはこういう時間を意識して持つことの大切さを実感。

古いピアノ

自宅音楽室に古くて珍しいピアノが入りました。友人から譲り受けたこのグランドの個体は公式には4台の国内現存が確認されていますが、この楽器は個人所蔵だったためそのリストには載っていません。ピアノを製造した1908年創業のベルリンの会社は、フルトヴェングラー時代のベルリンフィルの公式ピアノとして納品される程の質を誇ったにも関わらず、ナチによるユダヤ人迫害のために創業から僅か32年で消滅してしまいます。

このピアノは日本に届いてからも東京大空襲をギリギリ生き延びてきた運の強い個体です。その時のものなのかは分かりませんが、いくつかの焦げ跡、傷を丁寧に埋木した跡が見られます。本当によく頑張ってきたね、と声をかけたくなる、それでいて力のある音色です。

鍵盤ブッシングクロスは交換要、整調も大幅に行いたい状態ですが、ピン板は問題なし、ドイツらしい豊かな音のプロフィールからはちゃんと手入れされた痕跡がある響板は全然現役でいけそうです。明日から来るピアノの生徒さんはビックリするだろうな。廊下の音楽室の表示は廃校になった小学校のものを友人の古物商から入手した私のささやかなこだわりです。

歌唱勉強会

今日はMusica Rosetta企画「ピリオド楽器と歌う歌唱勉強会vol.1」を行いました。古楽を一緒に勉強している生徒さんたちと公開レッスン、そして発表会。ハイドン、ベートーベン、モーツァルトなど意欲的な選曲で、皆さんとても素晴らしい演奏でした。アクリルボードの前で歌わなければならなかったり、窓を開け放したり、マスク着用で楽譜にメモを取りながらの勉強会でしたが、少しずつこれからこの企画が成長して行けるといいなと思っています。今回はウィーン古典派でしたが、次回は通奏低音と歌う、中後期バロックができるといいかな。年末頃開催予定です。#原村#古楽#ムジカロゼッタ