原謡子がジャズ界のベテランベーシスト水谷浩章さんと二人だけでこれまた濃密なライヴをstudioRで行いました。私(杉本)も一体どんなライヴになるのか期待と不安のあまり、お客様に「リラックスして」聴いていただくために、ハンドドリップのコーヒーやお茶を提供してみようと思い立ちました。珈琲豆は現在studioRの建物で自家焙煎をしてくれている新BARNの焙煎師に頼んで私好みの深煎りで中庸な余韻の豆を焼いてもらう程の意気込みでした。そんな私のヤキモキとは裏腹にライヴ自体は快い緊張感のある、それでいてとても自然な流れがあり、「歌とベースだけというのもいいじゃない!」と十分に感じさせてくれるもので、水谷さんの完璧な技巧に裏付けられた闊達な演奏と表現力は歌といつも対等な会話をしているようでした。完全生音でのライヴでしたし、ミニマルな編成による独特な間(ま)があったりで、studioRの空間の響きが良い方向でマッチするライヴでした。バッハやディミニューションに始まって、水谷さんの複雑な表現の交錯するオリジナルのほか、私の作った歌曲も3曲演奏してくれました。自分が作った曲を誰かが新しい解釈で演奏してくれるのを聴くのは新鮮な喜びがあるものです。