暗黒に差す静謐な光 17世紀ドイツの宗教的コンチェルターテ集

文化庁「ARTS for the future!」補助対象事業

暗黒に差す静謐な光
17世紀ドイツの宗教的コンチェルターテ集
12月26日(日) 14:00開場 14:30開演
茅野市民館 コンサートホール

原謡子 ソプラノ   品川聖  ヴィオラ・ダ・ガンバ
金子浩 テオルボ/バロックリュート  杉本周介オルガン/チェンバロ
前売一般¥3500 前売ペア¥6500
当日¥3800 高校生以下¥1500

この公演も11月のリュートに引き続き落ち着いた内容です。ちょっと歴史の教科書を開くと16世紀はマルチン・ルターが宗教改革を牽引し、カトリックとは分派したプロテスタントが浸透し始めます。17世紀にはこの勢力とカトリック側の勢力が対立し、宗教戦争が始まります。そこに利権を得ようとした他の国々も参戦し、泥沼化してしまいます。30年戦争と言われています。17世紀前半のドイツはこの30年戦争により国土が荒廃してしまいました。戦場となった各地では兵士たちによる略奪が横行しました。小氷河期とも言われていた時代で、農作物は凶作が続いていましたので食糧難がありました。ペスト、チフス、コレラといった感染症も追い討ちをかけ、ドイツの人口は3分の1減少したと言われています。

当然ドイツの音楽家たちもその影響を真っ向から受けました。今回は主にこの困難な時を経験した作曲家をご紹介したいと思います。まず、ハインリヒ・シュッツです。シュッツは1585年に中部ドイツチューリンゲン地方で生まれました。ヘッセン=カッセル方伯モーリッツに見込まれて音楽を学び、奨学金でヴェネツィアへ留学もしています。本場イタリアの最新の作曲を学んだシュッツはその後ドレスデンの宮廷楽長になります。そして30年戦争が勃発し、1620年後半になると世の中音楽どころではなくなり宮廷楽団は縮小し、楽長としての職も一時中断してしまいました。そのような中でも散り散りになった楽団の再編成に尽力し、作曲の活動を続けていました。今回お届けする曲集は1636年と1639年という困難な時期に書かれたもので、歌手と通奏低音のみの小編成でも演奏できるように作られています。イタリアのコンチェルターテの様式で書かれており、そこにドイツらしい落ち着きと緻密さを盛り込んだ傑作です。今回は歌手が一名なので劇的な要素を含んだ独唱コンチェルターテです。シュッツの音楽は内省的で厳格な音楽作りが特徴です。派手さはありませんが聴き手の心の深いところに光を差し込むような、精神性の高い音楽で、バッハと肩を並べるくらいの深遠な音楽を作る人だと私は思っています。しかもこれは実際に目の前で演奏しているのを聴くことで、より鮮明に感じられる類のものです。

もう一人の作曲家はアンドレアス・ハンマーシュミットです。ボヘミアのブリュクスという小さな村で生まれたようですが、30年戦争の煽りを受けて15歳頃に一家でザクセンのフライベルクに移住してきました。ハンマーシュミットがいつどこで、どのような人物から音楽を教わったのかはよくわかっていません。しかしシュッツ以降のドイツにおけるコンチェルターテ様式の作曲家としてとても重要な人物であります。ハンマーシュミットはのちにツィッタウという町でオルガニストに就任し、その後の生涯をそこで過ごしたと伝えられています。ハンマーシュミットの音楽は整然とまとめられた旋律的構成で、わかりやすく明快な印象を感じます。それにしてもほとんどザクセン地方で生涯を過ごしたハンマーシュミットがどうしてここまでイタリアの様式を身につけて美しい曲を書けたのか不思議に思います。当時のドイツは神聖ローマ帝国に緩く統治されていた辺境の国々でしたが、そのような地方の宮廷にあってもイタリアの音楽は一つのスタンダードになっていたということが大きな要因だと言えるかもしれません。

今回のメンバーにはこういったレパートリーを演奏するのに打って付けの二人をお招きしました。ヴィオラ・ダ・ガンバの品川聖さんはその精神性の高い演奏に定評がありますし、テオルボの金子浩さんは歌の通奏低音がとても得意です。年末にこのような精神性が高い音楽をお届けできることは私の喜びです。今回はご縁があり主催は株式会社HSS Japanという特殊なスピーカーを販売している東京の会社が文化貢献事業として申し出てくださいました。しかも本公演は文化庁のAFF助成対象として採択されています。その名に恥じないような内容の良いコンサートにしたいと思います。

お申し込みはこちらのフォームからも可能です!

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