サクバットツアー初日

勝沼公演

小春日和の山梨県は勝沼のハーブ庭園「旅日記」での公演。庭園はすでに様々な花が咲き乱れ、春の花のパワーを感じる。

今回はサクバットの大内氏の提案でピッチを466Hzという現代のピッチよりも半音高くしての取り組み。こ17世紀ヴェネツィアで使われていたと考えられるこのピッチよればサクバットの演奏上の問題が一掃されるのだそうだ。

オルガンは466Hzに対応していないので415Hz(現代のピッチよりも半音低い)から全音高く読み替えての演奏。調律もD回りの中全音律でカバー。

演奏曲目ははっきり言ってマニアックだが、大内氏による『トロンボーンの歴史速攻講座』のオモシロトークなども含む楽しい解説付きで、少しでもこの麗しい金管楽器に興味を持っていだだけたらと思った。バロックヴァイオリンの丹ちゃん(丹沢広樹)もピッチごとに二丁のヴァイオリンを弾き分ける。

出番は少なかったが、原謡子の歌唱も効果的にプログラムに作用して、少なくともやっている本人たちは楽しかった。

次回は5月4日原村、八ヶ岳中央高原キリスト教会です!

ご興味をお持ちの方、なかなか無い機会ですので是非!!

5月4日 14:00開場 14:30開演八ヶ岳中央高原キリスト教会

5月6日 『大内邦靖サクバットリサイタル』東京都東陽町 ビュッフェクランポンジャパン内サロン

全公演 前売2500 当日3000 高校生以下1000

サクバットコンサートのご案内

サクバットコンサートのご案内

林の木陰の雪もほとんど解けて、鮮やかな緑の草が枯葉の間から顔をのぞかせ始めました。

原村では4月末に桜が花を開きます。それを合図に森の木々は一斉に若葉をつけ、草花が春の到来を歓迎するように小さな花で地面を飾ります。そんな原村の春にふさわしい内容のコンサートを企画しました。今回はトロンボーンの原型となったサクバットという金管楽器を山梨大学准教授の大内邦靖を迎えてお楽しみいただきたいと思います。

 

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サクバットは15世紀から17世紀に特に教会音楽の中で使われた楽器です。現代のトロンボーンに比べると小さく、菅体も細身です。そのため音量は現代のトロンボーンに比べてはるかに小さいのです。また楽器自体が不純物をたくさん含む軟質な金属でできているため、複雑なニュアンスを持った音色が大きな特徴になっています。柔らかい声を持った男性が歌っているというイメージでしょうか・・。ヴァイオリンと金管楽器という構成は初めあまりピンと来なかったのですが、実際に音を鳴らしてみると、柔軟な音色を持つサクバットならヴァイオリンと対等に、しかも効果的にアンサンブルが作れることを発見し、とても面白く感じました。

Cesare: La Augustina動画

バロック期のサクバット

fullsizeoutput_dd17世紀に入るまでサクバットは金管アンサンブルの花形楽器でした。これを野心溢れる初期バロックの作曲家たちは独奏楽器として使い始めたのです。今回プログラムに入っているジョバンニ・マルティーノ・チェザーレのLa Hieronyma(1621年)というカンツォンは現時点で最古のサクバットの独奏曲です。その他、音楽の最先端を発信したヴェネツィアからはジョバンニ・ピッキとダリオ・カステロという二人の鬼才の作品を用意しました。そして、今回はこれらの作品が声楽と絡めて演奏していたことから、ソプラノの原謡子にも参加してもらい、当時の新しい音楽の姿を感じていただけるよう演出してみました。

野山は花のよそおい

バロック・ヴァイオリンの丹沢広樹と組んで5年経ちますが、初めて彼と演奏した時に演奏した曲がパレストリーナのマドリガーレ「野山は花のよそおい」によるフランチェスコ・ロニョーニ編曲のディミニューションです。とても素敵な曲でもう何度も演奏していますが、春が来たらどうしても演奏したくなる曲です。今回は原謡子の歌と一緒にお送りします。

春が高貴な新芽で平原のあたりを装って
心地よい異国の香りを運んできた
私は緑に囲まれて 髪を小枝の冠で装う
朝早くにリコーリが来ると 彼は真っ赤な花を摘みながら
私への愛の証と熱っぽく語るの
「これは君のために摘んでいるよ これで君を飾るんだ」
私を包むように話しながら 髪を撫でる彼のその優しい指先は
私の心を締め付ける
こんなに愛した人はいないと気付かせる
だから私には彼しかいないの
私はこれ以上望むものはないの

Rognoni:野山は花のよそおい動画

新緑に包まれた高原の森の教会で、皆様にお会いできたら嬉しいです。ご一緒に八ヶ岳の春を満喫しましょう。4月23日は勝沼の美しいハーブ庭園でも公演があります。

5月4日14:00開場 14:30開演
八ヶ岳中央高原キリスト教会

サクバット:大内邦靖
ヴァイオリン:丹沢広樹
歌唱:原謡子
オルガン&アルピコルド:杉本周介

前売2500  当日3000  高校生以下1000

チケットのお申し込みは下記からも可能です。

どうぞ宜しくお願いします。                   杉本周介

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丘や野山は花のよそおい

サクバット

山梨大学で教鞭を執るトロンボーン奏者大内邦靖准教授の発案で、17世紀初期の北イタリア由来のカンツォンやソナタを中心としたコンサートを企画しました。サクバットはルネサンスからバロック期のトロンボーン。音量が現代のトロンボーンと比較して穏やかだが、男性の声に近い歌唱的な音色が特徴。今回は大内先生のリサイタルという目的もあり、サクバットの世界を知っていただく良い機会になると思います。 “丘や野山は花のよそおい” の続きを読む

スターバト・マーテル・ツアー

静岡公演

image124日早朝ヴァイオリンの平波智映ちゃんと出発。静岡市に早めに到着したので、山ではなかなか食べられない本格的なお寿司で昼食。会場は満席。お客様も温かく最後まで集中して聴いてくださったのがとても嬉しかった。静岡組の歌手は経験もあり終始安定した演奏で、楽しかった。19:00開演だったが、ホールの退縮時間が21:00となっていて、慌ただしく撤収。メンバーを引き連れて我が家に夜半に到着。

伊那公演

今回のツアーで最も曲の内容と一致するカトリック伊那教会。オルガンを祭壇に向かって配置していたので、メンバーを見渡すたびに十字架のキリスト像が目に入ってくる。そのせいか普段感じられないくらい強い感情が胸に沸き起こって来た。コンサート直前にお願いして私一人が教会の方とマリア様への想いに関してのお話をお伺いできたこともとても良かった。思えば歌手のお二人からこのスターバト・マーテル公演の企画のお話をいただいたのが昨年の4月。ほど一年間曲の解釈や歌唱法、お客様へのプレゼンテーションの方法など、準備を重ねて来た。Quando Corpusの前奏を振り始めた時、その一年が今ここに集約されているのだと思い、胸が苦しくなり、なぜか全身が痺れてきた。挑戦して最後まで全力で歌いきってくれた歌手のお二人、それを温かく見守ってくれた地元の聴衆の方々、限界の表現に果敢に挑んでくれた最高の器楽メンバー。私にとってこれは本当に思い出に残る公演になった。

下諏訪公演

ついにツアーファイナル。朝起きると雪が積もっていた。木々に化粧をするような白い雪景色は、普段都市に住む器楽メンバーたちへの神様からのプレゼントと思えるくらいだった。開場してみると満席で椅子の調達がギリギリになる程の聴衆に恵まれた。4公演目となると、メンバーも曲への親密度が増し、曲の中での表現に新しい工夫もあり、楽しい合奏ができた。歌手も回数を重ねるごとに表現に深みが増した。今日で終わってしまうのが惜しいとメンバーみんなが思えるツアーとなった。お越し下さったお客様、細やかなご配慮をいただいた運営スタッフの皆様へ心より感謝したい。ありがとうございました!

春の気配

午後から用事で教会へ。

まるやち湖は氷に覆われているものの、池の縁は透明な水が空を鏡のように映し出す。

落葉松が柔らかい影を森の小径に描く。昨秋の記憶が刻まれた落葉の間からは今にも緑の草が顔を出しそう。

小川のせせらぎは輝き、礼拝堂の祭壇にも昼下がりの陽光が滲む。

高原にも確かに春が来ている事に気がついた。

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つくば

初めての茨城県。冬になるとスーパーの野菜は茨城県産が多くなるので、お世話になっている県でもある。つくば市に入ってみての第一印象は道が広〜い!美しい並木道が延々とまっすぐ、しかも片側二車線でどこまでも続いている。アメリカみたい。

リハーサルをしていると、運営の方が大きくて美味しいイチゴやお菓子など、心温まる差し入れを次々と届けてくださる。茨城は道も人の心も広い!リハーサル後は器楽メンバーで赤提灯のぶら下がる居酒屋で飲みニケーション。楽器調整へのこだわりなど、話は尽きない。ボトルで注文した焼酎がカラに・・・

本番は歌声が通る響きを持つ会場で、メンバーのユーモアたっぷりのトークも交えて終始和やかに進行。ニコラ・ポルポラのチェロ協奏曲ではソリストの髙橋弘治さんが快演!歌手のお二人も、気持ちがジワリと伝わる歌声を聴かせてくれた。運営の方々にも大変細やかに、また温かく対応していただき、本当に感謝の思いで一杯。聴衆の皆様も、終演後たくさんお声をかけてくださり、こちらが大感激。素敵な街だなあと実感。

あと3回、静岡(24日)、伊那(25日)、下諏訪(26日)あるので、愉快なメンバー達と楽しい公演をお届けしていきたいと強く思った。

雰囲気だけ・・

いよいよ来週に迫ってきましたスターバト・マーテルツアー。
先日のリハーサルの模様をちょっとだけスライドショーにしてみました。(映像編集は素人芸ですいません)

 

今回のツアーはその地域を拠点に活躍する二組の歌手の方が出演します。

つくば、伊那、下諏訪公演  ソプラノ 浦野純子  メゾソプラノ 熊崎志津子
静岡公演 ソプラノ  山田祐規子  メゾソプラノ  野田広美 “雰囲気だけ・・” の続きを読む

リハーサルその2

スターバト・マーテル

東京リハーサル2日目

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昨日はつくば(3月12日)、長野県公演(3月25日伊那、26日下諏訪)に出演する歌手のお二人との合わせだったが、今日は静岡(3月24日)に出演する歌手とのリハーサル。

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アンサンブルもお互いの個性が分かり合え、表現したい方向性に向かって、皆がアイデアを出し合える、より親密な合奏となってきた。

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今回は、テンポ感など若干極端な設定にしているが、初合わせの静岡組も動じずに息を合わせての余裕のある歌唱。
午前中はコンサート前半に演奏するニコラ・ポルポラのチェロ協奏曲の練習。髙橋弘治さんの確かな技巧と音楽性が光るチェロ独奏が圧巻。
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1日8時間の2日間はハードだが、経験豊富で実力のある演奏者に囲まれて、自分自身の勉強になる非常に内容の濃い時間となった。

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練習の為に会場を貸して下さった芦野さんの激励の乾杯で、ツアーの成功を祈念。

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最終便のバスに乗り、信州への帰路についた。

スターバト・マーテルのリハーサル


スターバト・マーテルのリハーサルのため、始発に乗って江戸へ。午前は器楽隊のリハ。メンバーの間で活発な意見が飛び交い、親密でそれぞれの個性が活きるアンサンブルに。

午後は歌手の方が加わり、より彫りの深い作り込み。この素晴らしいメンバーで、ペルゴレージの名曲を四箇所で演奏出来る喜びをヒシヒシと感じた1日。


明日は静岡組の歌手とのオケ合わせ。

ハモンドオルガンの不調と点検

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ハモンドオルガンはゴスペルやロックなどで1960年代からよく使われているオルガン。回転する歯車にコイルを近づけて、歯車の凹凸との間の微妙な距離の変動により発生する磁気を電気信号に変えて、それを真空管で増幅させ音を作るという極めてアナログな電気楽器。しばらく弾いていなかったせいか、楽器を立ち上げることができなくなってしまった。シンクロナスモーターという歯車を回転させる駆動部分に電圧がかかっていないようだ。素人では修理できる範囲ではないと考え、著名なハモンドオルガンのエンジニアの方に修理を依頼した。とはいえ、ご多忙なエンジニアの方が無駄足を踏まないために、オルガンの状況を判断するためのご指示を受けながら配線などの簡単な診断をしている。 “ハモンドオルガンの不調と点検” の続きを読む