聲と弦のあいだに

うたとピアノで巡るスコットランド、アイルランド、イングランドの民謡のライヴ『聲と弦のあいだに』では、たくさんのお客様にお越しいただきました。本当にありがとうございました。よく口ずさむこれらの民謡を今の自分の観点で見つめ直し編曲を試みてみる、というコンセプトで初めてのプロジェクトでした。クラシックのように人の書いた譜面ではなく、自分で書いた楽譜を弾くのはまた違った感覚でとても面白く思いました。このプログラムをそっくりそのままCDにしたものを当日リリースしました。

茅野市民館のスタッフの皆さんが本当に丁寧にサポートしていただきました。音響の方は何度も客席で聴き直して時間をかけて音を作ってくださいました。ピアノや歌手が一番映えるようにいろいろな工夫を暮らした舞台照明や、予想以上にお客様がお見えになったときに咄嗟の判断で全てを円滑に進行させてくださった外回りのスタッフの方の機転には、本当に頭が下がります。受付や物販を担当してくださった4名の友人にも、心より感謝。

うたとピアノのライヴ

うたとピアノの静かなライヴ

春の企画です。古いうたばかりですが、きっとよくご存知の曲も多いはず。

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『聲と弦のあいだに』

うたとピアノだけでシンプルに楽しむ
アイルランド、イングランド、スコットランドの民謡

うた 原謡子  ピアノ 杉本周介

3月10日(土)14:00開場 14:30開演
茅野市民館 アトリエ

前売一般 ¥2500 ペア ¥4000  当日¥2800
チケット取り扱い: 茅野市民館、NPO法人サポートC

下記のフォームからも問い合わせが可能です。

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きよしこの夜

もうすぐクリスマス。原村は毎日氷点下の世界です。

有名なクリスマスの賛美歌を編曲してみました。

真夜中のミサ リハーサル

12月22日に東京・三鷹の風のホールで上演されるシャルパンティエの「真夜中のミサ」の

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器楽リハーサルのため東京へ。今回は若い演奏者たちが新しい合奏団を組んでの企画。合唱団は公募ですでに40名の方が練習に励んでいらっしゃるということだ。世代が違う演奏者たちとの交流は新鮮な楽しい気分になる。

自分が古楽を始めた頃は古楽器のCDを見つけることも、一冊の楽譜を入手することも大変だった。それだけ情報も少なく、楽器も少なかった。そんな時代から見れば、今の若手はスタートラインから違うからか、もっと自然で自由に楽しんでいるように見受けられ、少しばかり羨ましくもある。

オルガン調律出張

小渕沢に工房を構える草苅オルガンの調律助手で横浜へ。12月にコンサートを控えているので、事前の調整調律。今年完成したばかりの美しいオルガンだが、一夏を過ぎて細かい調整が少しずつ乱れてきているので、特にリード管の鳴り方を調整する。真鍮の薄いリードをかすかに曲げたり、削ったりして根気よく狙った音に近づけていく。とても時間がかかる作業である。

こうした楽器のメンテナンスの作業から演奏にも関係するいろいろなことを学べる。また、一つの楽器が鳴らす美しい音というものは、なかなか奇跡に近いものでもあることが実感させられる。世の中には当たり前なんていうことは、一つもないのかもしれない。

ブクステフーデの宗教曲

ブクステフーデ『我らがイエスの御体』

北ドイツバロックの最も重要な作曲家の一人、ブクステフーデの大規模な宗教作品を演奏する23621712_10213972953859120_8488517229452998626_n機会を山梨大学のプロジェクトでいただいた。イエスへの想いが詰まった歌詞を、決して複雑ではないが情感溢れる表現で埋め尽くされた作品。

大勢のソリスト歌手と合唱とが絡むので、そのアレンジだけでも大変だが、片野教授が持ち前の統率力でまとめていらっしゃった。学生や一般社会人が混じった合唱団の声が、大きなホールいっぱいに広がっていた。

静岡、御殿場公演

静岡市役所 Hot一息コンサート

ヴァイオリンの丹沢広樹君は静岡県出身で、静岡でも活発に演奏している。そんな事からお誘23561549_1360112164114291_2750014368085165418_nいを受けて静岡市役所での演奏をすることになった。ガンバの西谷尚己さんも静岡出身。ロビーコンサートといっても、かなり長いこと、それも頻繁に行われていたらしく、ホールのコンサート並みにスタッフさんがついてくださった。お客様も満員で、積み重ねの成果が見えるコンサートだった。
終演後、2019年にコンサートを予定しているAOIホールにてオルガンの下見をさせていただいた。主催する丹沢君とソプラノ歌手の山田さんがオルガンの音を聴いて、コンサート全体を計画するアイディアを練っていた。

御殿場公演

用事を済ませたら、息をつく暇もなく御殿場へ移動。御殿場市民会館での夜のコンサートは、ワインやビールなどを楽しみながら音楽を聴く、お洒落なコンサート。ちょうどボジョレーヌーボーの解禁とあって、館長さんがしきりに勧めていた。

乾燥が激しく、チェンバロはかなりの勢いで調子を崩してしまい大変だったが、休憩や終演後たくさんのお客様がチェンバロの周りに集まって、音を鳴らしたり、説明を聞いたりしてくれたことが嬉しかった。

こういう飲み物を絡めたリラックスしたコンサートは、今後もっとあっても良いと思った。

新しい曲

秋は木々が色づいて、息を呑むような景色を眺めることができます。
森を歩くと、はらはらと舞い落ちる木の葉が、地面に触れるときに幽かに
音を立てます。秋な収穫の季節でもあると同時に何かを失ってゆく季節でもあります。
それがまた、新しいものが生まれる起点にもなっているという・・・

そうした思索の時を与えてくれる森を今はできるだけ歩こうと思います。

全ては表裏一体なのかもしれません。
でも失われるものを追いかけたくなる気持ちもあります。

曲を書きました。

静岡・御殿場での演奏

11月16日に静岡県で二つのコンサートに出演します。
どちらも気軽なコンサートなので、お近くの方はぜひお出かけください。

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RicercareXVI


 

ジュリオ・ダ・モデーナのリチェルカーレ

モデーナは16世紀前半にヴェネツィアで活躍した鍵盤楽器奏者でした。
1540年頃に出版されたウィラールトという作曲家が出版した
「ムジカノーヴァ」という曲集にモデーナの作品が残っています。
私が高校生の頃に手に入れた当時としては貴重なCD「愉びの音楽」に
含められていたモデーナの数曲のリチェルカーレはどれも簡素でありながら味わい深く、
今でも私のお気に入りです。イタリアの音楽なのにどこか懐かしい響きがするのが不思議です。
こうした感覚はこの時代のスペインの音楽にも同様なことが言えます。

隣町にお住いの鍵盤楽器製作者小渕晶男氏が製作した
1540年頃の作者不詳の楽器に基づくクラヴィコードは、
この時代の音楽を演奏するのに最もふさわしく、
とつとつとした響きがどことなく和の世界にも通じる感じがします。
このクラヴィコードは音の減衰がとても早いので、
耳は絶えず静寂へと引っ張られていきます。
静寂こそ最も多くを語るのだと思います。
ひょっとしたら沈黙を聴くために音を出しているのかもしれません。

写真は「稗の底」という16世紀頃の村で、江戸時代に廃村になった集落の史跡です。
信玄の棒道沿いにあり、一説によれば武田信玄の頃にここは軍事的な意味で作られた
村だったとも言われています。ただ、標高があまりにも高かったので
農作は難を極め17世紀には人々はここを去ってしまいます。
あちこちに点在する祠が当時の面影を今に伝えています。

人々にとっては忘れられた場所でも、その場所はそこでの人々の営みを
見つめた記憶が残されているに違いありません。
「稗の底」を尋ねると、静けさの向こうに森の記憶が
語りかけてくるような気がします。