小渕沢に工房を構える草苅オルガンの調律助手で横浜へ。12月にコンサートを控えているので、事前の調整調律。今年完成したばかりの美しいオルガンだが、一夏を過ぎて細かい調整が少しずつ乱れてきているので、特にリード管の鳴り方を調整する。真鍮の薄いリードをかすかに曲げたり、削ったりして根気よく狙った音に近づけていく。とても時間がかかる作業である。
こうした楽器のメンテナンスの作業から演奏にも関係するいろいろなことを学べる。また、一つの楽器が鳴らす美しい音というものは、なかなか奇跡に近いものでもあることが実感させられる。世の中には当たり前なんていうことは、一つもないのかもしれない。